「アイドルドライバー」がすごく良い、という話

シトロエンP

【ニコニコ動画】【アイドルドライバー 第六話】アイドルドライバー

【ニコニコ動画】【アイドルドライバー】 ナナナビゲーション【3:37】

今年の6月に連載が始まり、じっくりしっかりとおざえりの関係性を描いてきた「アイドルドライバー」。このほどめでたく完結致しました。最終話ジャンプ先にはなんとエンディング動画まで用意してくれているサービスっぷりに感謝感激。この紙芝居PVがまた凄くいいんですわ…。正直、本家のPVよりもいいくらいで(ぉ





改めて通しで第一話から見てきたのですが、やっぱりいいですね。サイネリア=電子の妖精関連で作中BGM(この時までは車内オーディオはMDなんですよねw)がボカロ曲な3話目がちょっと尺合わせにこだわりすぎたかなー、という引っかかりこそありますが、それとてちゃんと仕事絡みの意味ある要素として描写されていますし、歌詞表示ゾーンという粋な計らいもありますしね。



物語の軸として恋愛をしたことのない絵理が初めての恋心を自覚し、それに対して自分の中でどう折り合いをつけていくか、というところに主眼が置かれているのですが、そこに至るまでの道のりが「慌てず焦らず」の安全運転でとても安心出来るんですよね。
Aランクエンドを迎えたあとの精神的に余裕のある絵理と尾崎さんの2人による心和ませる掛け合いに始まり、876の見習いアイドルとして尾崎さんとも関わるようになったサイネリア。先輩後輩の間柄ゆえに絵理には見せない別の一面で小鳥さんと応対する尾崎さん。からかい相手兼ガールズトークに花を咲かせる相手として夢子と接する絵理。そして告白後の2人のお互いの気持ちに対する理解度…。どれもこれも理想的とも言える描写の数々に見事だなぁと唸るしかありませんでした。
あ、勿論最終話での「初デート」は主導権がしっかり絵理に移っていて大笑い&2828させて頂きましたともwやっぱりこの2人はこうでなくっちゃねw



そしてテキストが良い、だけで終わらないのがシトロエンPの凄いところ。
実にきめ細やかな表情変化に加え、BGMを「歌う」演出やアイキャッチ、枠外での遊びなどしっかりと動画であることを意識した取り組み方が成されていて感心するばかりなのです。だいたい、移動する車内での2人の会話だけで進行するノベマス(店内の場合もありますけど)というだけでも新しい試みですよね。なのでBGMがカーオーディオから流れているという情景も無理なく受け入れられるわけで。
そしてアイドルである絵理が座る場所が後席ではなく助手席、というのも二人三脚で進む2人の絆の強さを表していて上手いなぁ、と。…サイネリアの場合は尾崎さんと「張り合う」立場だからかな?w
それを生かすための左右2分割という凝った画面構成も他作品との差別化になっていていいですよねー。





デザイン自体はとあるゲームからの拝借のようですが、おかげで2人が同時にしゃべる、会話を遮る、咄嗟に反応する、などのテキスト面での演出のしやすさが格段にやりやすかったであろうなと感じられます。空いた右上スペースも有効活用されていましたし。



あと、すっげー個人的な好みを言わせてもらうならば絵理が疑問形をむやみやたらと使わない、というところがめちゃくちゃツボでした。何と言いますか理想の使用量、なんですよね、シトロエンPの絵理は。
また、尾崎さんも有能な「フリーの」(これが大事)プロデューサーとしてここまで書いてあるノベマスは今まで見てきた中ではちょっと記憶にないくらいです。絵理専属であること、876プロの他のアイドルの仕事に関わらなくていい立場であること、をちゃんと説明してるんですよね。これがまた大きい。で、ありながらプライベートな頼みはしっかりと受けてあげる尾崎さんマジ親切。こういうエピソードの挟み方も実に良かったなぁ。



アイドルを車、プロデューサーを運転手に例えた最初の舞台設定が最後まで破綻することなく生かされていたのはシトロエンPの見事なハンドル捌きの成果と言えるでしょう。時に車が振り回し、運転手がそれを上手くコントロールする。そして何より2人の信頼関係があってこその事故無きドライブ。無事に完結という目的地に辿り着けたことを喜ばしく思います。ルート設定(プロット)がスタートからしっかりと決まっていたのだろうなぁ。
どうやら後日談っぽいのがありそうな雰囲気ですし、そちらが来たらまた楽しませてもらうことに致しましょう。まずは無事の完結、おめでとうございます。
そして未見の人はこれを機会にどうぞ一気見を!!